オススメ映画【邦画編】
皆さんは普段邦画をどれくらい観ますか?
僕は以前はよほどのことがなれば邦画を観るということはありませんでした。
ですが最近、リモートワークの疲れにより、字幕追うのもめんどくさい、(でも吹替は大嫌い)安心して母国の映画を観たい、という思いに駆られ、適当な邦画を選ぶ機会が多くなりました。良くないですね。
そんな自分への戒めを込めて、ここでは、紛れもなく傑作の邦画を紹介します。
僕もかつては時間の無駄にならないように慎重に邦画を選んでいたので、このランキングにはかなり自信があります。(笑)
10位『あの夏、いちばん静かな海。/1991/日本』
聾唖の青年、茂はゴミとして出されたサーフボードを見つけ、同じ障害をもつ彼女の貴子を誘い、海に出るー。
北野武監督作品。
2人は耳が聞こえないので、当然2人での会話シーンはありません。それどころかこの映画では、手話すらないんですよね。にも関わらず、2人が何を考えているのか、不思議なほどに伝わってきます。これは1つ1つの表情や行動によるものだと思いますが、"静寂"であるからこそ伝わるものってあるんだな、と改めて認識できます。
日本人でこういう映画撮れる監督って他にいるんでしょうか。
早く北野武映画を制覇しなければ、と思う今日この頃です。
9位『四月物語/1998/日本』
終始素晴らしい空気感が流れる、至福の67分。
大学進学を機に上京した自分と主人公を重ねることができるのも、僕がこの映画を好きな理由ですが、何気ない日常を美しく撮ることにおいて、岩井俊二の右に出る者はいないと思ってます。
8位『凶悪/2013/日本』
ピエール瀧がひたすらにぶっ込む、実際の凶悪事件を基にした映画です。
あくまで持論ですが、不祥事があった俳優が出てる映画やドラマを放送自粛やシーンをカットして対応するの、かなり嫌いなんですよね。
確かに人として、罪を犯したことは決して許されないことですが、作品に罪はないんですよね。仮にそれがキマった状態での演技だったとしても。(笑)
まあ、大人の事情とかスポンサー絡みで色々あるんでしょうけど、そんなくだらないことは置いといて、とにかくぶっ込めばいいんですよ。
この映画のピエール瀧、僕はかなり好きです。
7位『リトルフォレスト 夏・秋/2014/日本』
東北のとある小さな集落で暮らす、いち子の自給自足を描いた映画。恵みを与える一方で、時には厳しさも見せる東北の大自然。
自分と向き合いながら、たくましく生きるいち子の姿に目が離せません。
自分が憧れている生活を実写化してくれた映画です。
深夜にこの映画を観たら最後、夜食は不可避かと思います。
『吉田類の酒場放浪記』、『孤独のグルメ』、『ワカコ酒』が大好きな自分がこの映画を好きになるのは、我ながら納得しています。
『リトルフォレスト 冬・春』もオススメです。
6位『孤狼の血/2018/日本』
舞台は広島の架空都市。所轄署に配属になった日岡は、暴力団との癒着を噂される刑事、大上と共に、金融会社社員失踪事件の捜査を担当する。常軌を逸した大上の捜査に戸惑う日岡。失踪事件を発端に、対立する暴力団組織同士の抗争が激化しー。
とにもかくにも、こんなに渋い邦画を観たのは久しぶりです。
役所広司はもちろんのこと、特にラストシーンの松坂桃李がめちゃめちゃカッコいいんですよね。彼へのイメージが大きく良い方向に変わる映画です。
5位『WOODJOB!神去なあなあ日常/2014/日本』
チャランポランな高校生、平野勇気は大学受験に失敗し、彼女にも振られ、散々な状態で卒業式を迎える。そんな時、美女が微笑む写真が掲載された林業研修プログラムのリーフレットを見つけた勇気。表紙の美女につられ、街から逃げ出すようにプログラムに参加した勇気の運命はー。
極論ですが、現代の邦画の数少ない良さを集めた、お手本のような映画です。今や、脚本や演技、映像などで欧米に韓国に、インドに勝てないんなら、もう本作みたいな映画しか生き残る道はないんですよね、邦画は。俳優やモデルを売り出したいがために、肝心な事が疎かになった映画は金輪際作らないでもらっていいですか?
と、愚痴はさておき、本作は爽やかでコミカルかつ、林業についても学ぶことができる作品となっています。頭を空っぽにして楽しんでいたのに、最後はきっと誰しも、この映画がもつメッセージに心を動かされると思います。
特に、高校卒業後、「就職」という道を選ばずに、「進学」という道を選んだ人に見て欲しいです。
4位『誰も知らない/2004/日本』
ネグレクトをテーマにした社会派映画。
この手の映画において、是枝監督はさすがの一言に尽きます。
救いようがない、悲しい映画。それでも、こういう映画を観て、現代社会について考える時間は人として絶対に必要です。
どうでもいい事ですが、小学校高学年~中学校前半くらいまでの自分は柳楽優弥に激似と友人たちの母親間で話題でした。一体どこで差がついたんでしょうね。
3位『リリィ・シュシュのすべて/2001/日本』
田園風景が美しいある地方都市。中学二年の蓮見は、かつでの親友、星野に苛められ、窒息しそうな毎日を送っている。唯一の救いは、カリスマ的歌姫リリィ・シュシュの歌声だけ。自らが主宰するファンサイト「リリフィリア」の中にいる時だけが、本当の自分でいられる瞬間だった・・・。
岩井俊二監督作。
残酷で苦しくて、美しい。そんな映画です。冒頭の数分を観ただけでは、「何この映画、こんなのが評価高いの?」と思う方もいるかと思います。でも観終わった頃には、この映画を観たことは一生忘れられないはず。
ストーリーももちろんですが、天才的な光の使い方をした映像(特に田園風景が素晴らしい)、音楽、演出の全てが融合された巨大な波によって、右脳が支配されることは間違いないです。深夜に観て、絶望の淵に叩き落されることをオススメします。
余談ですが、市原隼人がまだカッコいい頃の貴重な映画です。
2位『GO/2001/日本』
「日本で一番好きな俳優は?」
こう聞かれたら、この質問をした人が、たとえ何歳も離れた上司だとしても、めちゃめちゃ美人だけど、流行りの芸能人しか興味がなさそうな女性だとしても、あんまり仲が良くない人だとしても、幼稚園児だとしても、僕はこう答えます。
「窪塚洋介に決まってんじゃん」
わざわざ分かりきったこと聞くんじゃないよって感じですよね。(笑)
余談は置いといて、この映画の主題はどこをどう見ても人種差別と差別意識。
この映画の素晴らしいところは、上記のような重いテーマであるにも関わらず、「この映画はあくまでも恋愛の話だ」と何度も劇中で語られているところだと思います。まるで、「人種差別なんてテーマにするわけないよ、そんなものくだらねぇ」とでも言わんばかりに。
一見爽やかな映画の中にも、ハッとさせられるような教訓、名言、考えさせられることが山ほど出てきます。登場人物のキャラクターもそれぞれ個性があって素晴らしい。
『国境線なんて、俺が消してやるよ』
心からオススメする映画です。
1位『スワロウテイル/1996/日本』
むかしむかし、"円"が世界で一番強かった頃、いつかのゴールドラッシュのようなその街を、移民たちは"円都(イェンタウン)"と呼んだ。しかし、日本人はこの名前を忌み嫌い、逆に移民たちを"円盗(イェンタウン)"と呼んで蔑んだ。ここは円の都、イェンタウン。円で夢が叶う夢の都。そしてこれは"円"を掘りにイェンタウンにやって来た、イェンタウンたちの物語・・・。
これを初めて観た時の衝撃は今でも忘れられません。
日本語と英語と中国語のミックスにより生まれる、リアリティさとエキゾチックさ。
モヤや逆光を上手く使った映像美。
移民を取り巻くアングラの気怠い雰囲気や世界観が映像とマッチしていて、この映画を観ている時間の素晴らしさは、現存する日本語では表現できません。
いかがだったでしょうか。
10本のうち、3本が岩井俊二監督作という、偏った嗜好のランキングにはなってしまいましたが、観た方は感想教えてくれるとすごく嬉しいです!
また、オススメの邦画や日本人監督知っていたら、教えてください!
僕はこの夏、北野武を攻めます。