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映画レビュー【インビクタス/負けざる者たち】

淡々としつつも、心がアツくなる素晴らしい映画だった。

映画『インビクタス/負けざる者たち』をレビュー。

 

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<作品情報>

製作年:2010年

監督:クリント・イーストウッド

主演:モーガン・フリーマン

上映時間:134分

製作国:アメリ

 

<あらすじ>

クリント・イーストウッド監督、モーガン・フリーマン主演の実話をもとにした感動作。黒人初の南アフリカ共和国大統領になったネルソン・マンデラは、まだ残る人種差別をなくすため南アフリカ代表のラグビーチームを立て直す。

 

<感想>*ネタバレあり

南アフリカのアンセムそのものみたいな映画でした。

この映画は言葉を選ばずにいえば、良い面しか描かれていないと思う。ネルソン・マンデラの成し遂げたことはとてつもなく大きいし、歴史的にも最も価値のある人物の一人だと思う。それでも、現実はこの映画ほど甘くはなかったはずだ。この映画は、アパルトヘイト後も、まだ色濃く残る人種差別を遠景として淡々とは描いてはいるものの、心を抉られるような描写はないように感じた。

と、ここまで色々と書いたが、映画が進んでいくうちに、この映画は決してネルソン・マンデラの生涯や成し遂げたことに焦点を当てた映画ではないのだと気付いた。

あくまでもモーガンフリーマンが演じる、ネルソン・マンデラマット・デイモンが演じるラグビー南アフリカ代表のキャプテンであるピナールの友情の物語、そしてラグビーというスポーツを通して、たとえ一瞬だとしても、国が一つになる瞬間を描いているのだ。

個人的に印象に残っているのは後半の円陣を組むシーン。

どんだけラグビーのシーンが続くのよ・・・と思っていた時に、スタジアムの底から湧き上がるように響く、"shosholoza"。劣勢に立たせられている中、南アのキャプテン、ピナールから放たれた"Do you hear? Listen to your country!"(祖国の声を聞け)は強く胸に迫るものがあった。マイノリティであるアフリカーナーの彼らがこの言葉で奮起したのにはとてつもなく大きな意味があるし、そこから劇的勝利を収める様はシンプルにスポーツの底力を感じざるを得なかった。

間違いなくこの映画のハイライトの1つだと思う。

 

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巨匠、イーストウッドらしい、ずっしりと見ごたえのある映画でした。

 

開催に賛否両論だった東京オリンピック。好きな競技はあらかた画面を通じて観戦してましたが、東京で開催されているという実感が全くないまま、幕を閉じてしまいました。この映画のように国が1つになる瞬間を味わいたかったなと心から思います。