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東欧・中欧・北欧縦断の旅⑥【ハンガリー・ブダペスト 前編】

ハンガリーの基本情報】

首都:ブダペスト

主要都市:ブダペスト

通貨:フォリント(Ft)

言語:ハンガリー語

人口:981万人(2016年)

 

 

ハンガリーといえば何を思い浮かべるだろうか。「ドナウの真珠」や「東欧のパリ」とも揶揄されるブダペストの街並みや夜景、フォアグラ、ワイン、果てしなく広がる草原地帯、温泉くらいだろうか。多くの日本人にとっては名前は知っていても、どこにあるのかはよく分からないマイナー国のひとつかもしれない。

 

 

今回、昔から人生で1度は訪れてみたかったハンガリーに5日間滞在した結果、ハンガリーは最高だったと自信をもって言える。どれだけ最高だったかというと、ヨーロッパで好きな国を挙げろと言われたら5本の指に入るレベル。いや、3本の指かもしれない。

 

 

ヨーロッパ屈指の夜景、1日3000円もあれば生活できる物価の安さ、治安の良さ、美味しいご飯、雰囲気のある街並み、無機質さと社会主義の香りが残る地下鉄、歴史のある豪華で巨大な建造物の数々。ブダペストの街を思い出すだけで心が躍る。

 

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ブダペストの夜景

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ブダペストへはリュブリャナから電車で向かった。スロベニアで発症した風邪を引きずってはいたが、シートが硬いことに目を瞑れば、座席は空いていてそれなりに快適であった。

 

 

途中で何の説明もなく電車を降ろされ、バスに乗せられた挙句、少し先の駅でこれまた何の説明もなく放り出されたり、その駅から乗った電車で鼻水をすすっていたら、地元のおばさんにハンガリー語でまくしたてられた挙句、トイレットペーパーよりも遥かに硬いティッシュをもらったりと印象的なことがありつつも、無事ブダペストに到着。終わってみれば約9時間ほどの大移動であった。

 

 

ブダペスト南駅からは地下鉄に乗り換え、ドミトリーに向かった。スロベニアという西側のユーロ圏からの移動ということもあってだろうか、ブダペストはガラッと雰囲気が変わったのを肌で感じた。上手く言語化できないが、街が薄暗く、薄汚くなった気がした。スロベニアでは1回も目にすることがなかったホームレスも格段に増えた。

 

 

宿は市内の中心部に位置し、4泊で10,478Ft(約3,700円)。4人部屋だったのだが、初日以外は自分以外に誰もいなかったので非常に快適であった。

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ところで、ブダペストの地下鉄は非常に深い歴史をもっていることをご存知だろうか。世界ではロンドン、イスタンブールに次いで3番目に古く、1896年にハンガリー建国1000年を記念して作られたものである。中でもM1番線は世界遺産に登録されているそうだ。

 

 

そのM1番線は大都会ブダペストのすぐ真下を走る。地上からわずか数m、階段にして約20段ほどでホームに着く。地上からでも走れば10秒ほどで乗車することも可能だ。また、地上を歩いていても地下鉄がホームに到着した音がはっきりと聞こえた。

 

 

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レトロな雰囲気が漂うM1路線

 

 

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M1路線の車内

 

 

開業当時のハンガリー国王の名をとって「フランツ・ヨージェフ号」とも呼ばれる、この車両は4両ほどで、車内もとても狭く座席もありえないほど硬い。おまけにドアは人がいようがお構いなしで、信じられない勢いで閉まる。また、混雑時にはスリに要注意といったところ。

 

 

 

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M2~M4番線へと向かうエスカレーター

 

 

その一方で、その他のブダペストの路線(M2~M4番線)はものすごく深い所を走る。都営大江戸線を彷彿とさせられる感じ。こちらの車両はM1よりも広く、少しは近代的であったが、後に訪れることになる、同じく旧社会主義圏のベラルーシのように殺風景でどこか寂し気な暗い雰囲気だった。

 

 

そして、旧社会主義圏にありがちな異常なまでに早いエスカレーターの速度も健在。日本よりも明らかに早い。足腰が弱い老人や子供はもちろんだが、普通の大人でも足を乗せるタイミングを間違えてしまうと・・・想像しただけでも恐ろしい。日本の感覚では間違いなく足をもっていかれる。

 

 

ちなみにブダペストに数日滞在するなら、地下鉄乗り放題の切符がオススメ。24時間券、72時間券などがある。シングルチケットが350Ft(約125円)であるのに対して、72時間券でも4,150Ft(約1,500円)。なので、72時間以内に12回乗れば元が取れるという計算だ。僕は毎日10kmくらい歩くスタイルで街を回っていたけれど、歩き疲れた時、ちょっと出掛ける時などに乗っていただけで余裕で元を取ることができた。

また、使用開始時に打刻するだけでその後は特に手続きはないので楽。ブダペストから次の国に向かう電車の時間から逆算して打刻をしたので、ギリギリまでその甘い蜜を吸いつくすことが出来た。

 

 

改札がないことがほとんどのヨーロッパの地下鉄だが、この国も例外ではなかった。しかし、検札の回数が今まで経験したどのケースよりも異常に多かった。最初の2日間は検札に合うことがなかったので、切符買わなくて良かったかな~なんて邪な考えが浮かんだりもしたが、最後の3日間は改札(といってもゲートはない)に駅員がびっしりと立ち、まるで我々が犯罪者だとでも言わんばかりに(被害妄想)、有効な切符を所持しているかしっかりと確認していた。止められている人もたくさん見かけたので日頃から無賃乗車は多いのだと思う。そんな時も乗り放題切符はドヤ顔で改札を通過できる。(使用開始時の打刻をしてないと無効なので注意!)

 

 

今思えば、主にラッシュアワーや夜間に検札が多かったように感じる。きちんと切符は買いましょう。日本人として。いや、人として。

 

 

自動改札を作ることもせず、こんなに人件費と時間をかけてわざわざ検札をして、その効力も芳しくなく無賃乗車率が高そうなブダペストの地下鉄かわいいな~とか、採算は取れているのだろうか・・・とか、エスカレーターの事故とかないのだろうか・・・なんてこの国の地下鉄事情を心配しつつも、こんな小さな発見も面白く思える旅ってやっぱり最高だな~なんて考えたりした。

 

 

異常なまでに浅かったり、異常なまでに深いブダペストの地下鉄、なかなか興味深い。

 

 

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余談だが、今まで様々な国の地下鉄に乗ってきた。台湾、タイ、インド、スペイン、トルコ、イタリア、ポルトガルチェコ、フランス、ベラルーシなどなど・・・

初めての都市ではなるべく地下鉄に乗るようにしている。システムも地理も言語もよく分からない中で試行錯誤して無事乗れた時や、一般論では治安があまり良くないとされる海外の地下鉄をクリアした時の快感は何物にも代え難いからだ。

なんて書いてみたが、安宿は辺鄙な所にある場合も多いので、乗らざるを得ないという状況も否めないのが事実だ。それでも現地の人を観察したり、その国の雰囲気を感じ取ることが出来るという意味で地下鉄はとても面白い交通手段だと思う。

そして世界の地下鉄一覧なんかを見ると、実に様々な国に地下鉄が走っていることにも驚かされたりする。

 

 

世界各国の地下鉄を乗り尽くしてみたい。(後編に続く)

 

 

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国会議事堂 ハンガリーブダペストにて