映画レビュー【インビクタス/負けざる者たち】
淡々としつつも、心がアツくなる素晴らしい映画だった。
映画『インビクタス/負けざる者たち』をレビュー。
<作品情報>
製作年:2010年
監督:クリント・イーストウッド
主演:モーガン・フリーマン
上映時間:134分
製作国:アメリカ
<あらすじ>
クリント・イーストウッド監督、モーガン・フリーマン主演の実話をもとにした感動作。黒人初の南アフリカ共和国大統領になったネルソン・マンデラは、まだ残る人種差別をなくすため南アフリカ代表のラグビーチームを立て直す。
<感想>*ネタバレあり
この映画は言葉を選ばずにいえば、良い面しか描かれていないと思う。ネルソン・マンデラの成し遂げたことはとてつもなく大きいし、歴史的にも最も価値のある人物の一人だと思う。それでも、現実はこの映画ほど甘くはなかったはずだ。この映画は、アパルトヘイト後も、まだ色濃く残る人種差別を遠景として淡々とは描いてはいるものの、心を抉られるような描写はないように感じた。
と、ここまで色々と書いたが、映画が進んでいくうちに、この映画は決してネルソン・マンデラの生涯や成し遂げたことに焦点を当てた映画ではないのだと気付いた。
あくまでもモーガンフリーマンが演じる、ネルソン・マンデラとマット・デイモンが演じるラグビー南アフリカ代表のキャプテンであるピナールの友情の物語、そしてラグビーというスポーツを通して、たとえ一瞬だとしても、国が一つになる瞬間を描いているのだ。
個人的に印象に残っているのは後半の円陣を組むシーン。
どんだけラグビーのシーンが続くのよ・・・と思っていた時に、スタジアムの底から湧き上がるように響く、"shosholoza"。劣勢に立たせられている中、南アのキャプテン、ピナールから放たれた"Do you hear? Listen to your country!"(祖国の声を聞け)は強く胸に迫るものがあった。マイノリティであるアフリカーナーの彼らがこの言葉で奮起したのにはとてつもなく大きな意味があるし、そこから劇的勝利を収める様はシンプルにスポーツの底力を感じざるを得なかった。
間違いなくこの映画のハイライトの1つだと思う。
巨匠、イーストウッドらしい、ずっしりと見ごたえのある映画でした。
開催に賛否両論だった東京オリンピック。好きな競技はあらかた画面を通じて観戦してましたが、東京で開催されているという実感が全くないまま、幕を閉じてしまいました。この映画のように国が1つになる瞬間を味わいたかったなと心から思います。
映画レビュー【あのこは貴族】
東京という異質な都市で暮らすこと、生きていくことが丁寧に描かれていた。
映画『あのこは貴族』をレビュー。
<作品情報>
製作年:2021年
監督:岨手由貴子
上映時間:124分
製作国:日本
<あらすじ>
-同じ空の下、私たちは違う階層(セカイ)を生きている-
東京に⽣まれ、箱⼊り娘として何不⾃由なく成⻑し、「結婚=幸せ」と信じて疑わない華⼦。20代後半になり、結婚を考えていた恋⼈に振られ、初めて⼈⽣の岐路に⽴たされる。あらゆる⼿⽴てを使い、お相⼿探しに奔⾛した結果、ハンサムで良家の⽣まれである弁護⼠・幸⼀郎と出会う。幸⼀郎との結婚が決まり、順⾵満帆に思えたのだが…。⼀⽅、東京で働く美紀は富⼭⽣まれ。猛勉強の末に名⾨⼤学に⼊学し上京したが、学費が続かず、夜の世界で働くも中退。仕事にやりがいを感じているわけでもなく、都会にしがみつく意味を⾒いだせずにいた。幸⼀郎との⼤学の同期⽣であったことから、同じ東京で暮らしながら、別世界に⽣きる華⼦と出会うことになる。 ⼆⼈の⼈⽣が交錯した時、それぞれに思いもよらない世界が拓けていく―。
<感想>*ネタバレあり
この映画はドラスティックな何かが起きたり、映画的な展開があるわけでもない。
それでも確実に淡々と現実を突き付け、心の奥底を抉り、最後には一縷の希望をくれた。
印象的だったシーン
①後半、華子が美紀の家を訪れたシーンでのやり取り
華子「美紀さんが羨ましい」
美紀「なんで?」
華子「だってここにあるもの、全部美紀さんのものだから」
確かに、美紀の家にあるものは、美紀が自分の力で、自分で稼いだお金で手に入れてきたものだ。華子の家にあるものと明らかに見劣りするものの、美紀の家にあるものは、彼女自身の努力と苦労の形跡、そして短くはあるが彼女が歩んできた歴史が確かに滲む。一方、華子は生まれたその時から全てが家にあり、自分の意思を介することなく、買い与えられてきたものだ。
一見、嫌みもとれるやり取りだが、華子の生い立ちが十分に描かれた上での、このセリフは華子が、苦労はあるが、自分の意志で人生を歩んできた美紀を心底羨ましいと思っていることが伝わってきた。
②華子が美紀の家を訪れたシーンでのベランダでのやり取り
細かい文言は覚えていないが、美紀が華子に放った以下の言葉。
「どんな階層の人だって、どんな場所に生まれたって、最高っていう日もあれば、泣きたくなる日もあるよ。今日あったこと、喜怒哀楽を全部話せる(理解してくれる)人が一人でもいればそれで十分じゃない?」
東京のごく普通なアパートのベランダで東京タワーに見下ろされながら、安いアイスキャンディーを食べながらのこのシーンは白眉だった。
地方から東京に出てきて、色んな世界を見てきた美紀のこの言葉には重みがあるだけでなく、彼女自身に言い聞かせているような気もした。私自身もハッとさせられたし、この言葉で華子が奮起するのも良かった。
最後になるが、この映画が特に素晴らしかったのは、"階層"が上の人々を決して悪く描いていないことだ。彼らにも下の"階層"の人々と一見異なるようで実は同じベクトルの苦悩があることが丁寧に描かれていた。
また、出自や家柄、経済力といったそれぞれの"階層"ごとにある、当たり前や慣習、考え方が誤解のないように、かつ誇張し過ぎず描かれていた。
具体的には、地方で生まれそのまま地方で暮らしていく人は、親の人生をトレースするだけ、とあったが、実は東京のいい家柄に生まれ、そのまま東京で暮らしていく人も同じなのだ。家柄やビジネス利害関係、世間体といった否定量的なものを維持・存続するために、親の、家系の人生をトレースするように育てられ、仕向けられているのだ。あるいは、女だから、男だからというだけで、人生の方向性を示されているのだ。
個人的には、出自や、経済力、家柄といった階層の違いに気づいてしまうことはとても残酷なことだが、その違いを知らないまま、また共通項を知らないまま生きていくことは一見、幸せなようでもっと残酷なことなのかなと感じた。
そういえば、この前、丸の内にある某超高級ホテルのフレンチに行きましたが、この映画がフラッシュバックしました。優雅なマダム軍団、若い女性を連れた起業家風の人、着物を着たいかにも家柄が良さそうな家族・・・。この映画に出てきそうな階層の人々ばかりで食事どころじゃなかったんだけど、彼らにも我々と同じような苦労があるんだろうな。いい社会勉強になりました。
映画レビュー【女神は二度微笑む】
インド映画の素晴らしさを改めて思い知りました。
踊らないインド映画は個人的にかなり新鮮だったので、感想をレビュー。
<作品情報>
製作年:2012年
監督:スジョイ・ゴーシュ
主演:ヴィディヤー・バーラン
上映時間:123分
製作国:インド
<あらすじ>
2年前に毒ガスによる地下鉄無差別テロ事件で多くの犠牲者を出したインドのコルカタの国際空港に、ロンドンからやってきた美しき妊婦、ヴィディヤが降り立つ。
彼女のコルカタ来訪の目的は、1ヵ月前にコルカタへ出張に行ったきり、行方不明になった夫を探すことだった。しかし、宿泊先にも勤務先にも夫がいたことを証明する記録は一切見つからなく、ヴィディヤは途方に暮れる。
そんな中、夫に瓜二つのミラン・ダムジという人物が浮上、それを知ったインド国家情報局の捜査官カーンが捜査に介入、ヴィディヤへの協力者が何者かに殺害される事件が立て続けに起き、緊迫の事態に発展していく。
少し頼りないが誠実な警察官のラナの協力を得て、夫探しに執念を燃やすヴィディヤだったが、やがて夫の失踪が2年前に起きた無差別テロ事件に関連していることが明らかになっていき、、、。
<感想>*ネタバレあり
これぞどんでん返し!かつて『ユージュアル・サスペクツ』を観てやられたように、今回も見事にこの映画にやられてしまいました。
今まで観てきたインド映画はミステリー、ヒューマンドラマ、ラブロマンス、宗教、社会問題などの様々な複数の要素をギュッと3時間くらいの尺に纏め、最終的には人生における大事なことを提示してくれるものが多かったように思いますが、本作はサスペンス/ミステリー要素1つで勝負する、(日本で観れるインド映画では)かなり珍しい部類となっています。
本作を本格的なミステリーにしているのは、観客にミスリードを促す、巧妙な脚本によるものが大きく、最初のストーリー設定として、前提として、頭で捉えていたものが、最後の最後に綺麗に覆されるのはとても興味深く、惹かれるものがありました。
冒頭、地下鉄のテロシーンから始まり、様々な人物が入れ替わり立ち替わり登場、話の本筋とどう関係するのか、あまり説明されないまま、映画は進んでいきます。それでも緊迫感を最後まで持続させながら、圧巻のクライマックス。
その巧妙な脚本や演出も良かったですが、特に印象に残っている点として2つあります。
まず1点目は、クライマックス直前から度々登場する、ヒンドゥー教の女神である、ドゥルガーの存在。ドゥルガーは、「近づき難い者」を意味し、優美で華やかな見た目とは裏腹に、内面に激しい気性を併せ持つ、戦いの女神として位置づけられています。
特にクライマックスでは、主人公ヴィディヤの「美しい外見」、そして「綿密に計算された戦略で夫の仇を討つ、強さ」が優美な戦いの女神、ドゥルガーと重ね合わせられていることが印象的でした。こういうメタファーって、めちゃめちゃ気が利いててオシャレです。
2点目は見事、最愛の夫の仇を討ったヴィディヤが涙するシーン。
強く、美しく、気丈であった彼女が涙する姿が印象的でした。今まで明るく振舞っていたのは"夫の仇を討つ"という至上命題があったからに過ぎないと言わんばかりでした。
そしてその命題を見事に果たした一方、いやむしろ命題を果たしてしまったことによって、夫はもう戻ってくることはない、と改めて再認識してしまい、新たな別の絶望に暮れているようにも見えました。復讐からは何も生まれないということでしょうか。
低予算(120万USD)で製作されたながらも、非常に繊細で緻密な、良作ミステリー/サスペンスでした。観る価値は十分にあると思います。
<関連作品>
ユージュアル・サスペクツ(1995/アメリカ)
2020年本当に買ってよかったもの【日用品/家具編】
2020年に本当に買って良かったものを紹介したいと思います。今回は日用品/家具編。
■ブランケット(ROROS TWEED アイスベア200cm)
ブランケットとしてはかなり高価な部類に入るかもしれませんが、買って良かったものの一つです。
ロロスツイードのブランケットはノルウェーの世界遺産の村、ロロスで作られます。
無農薬の牧草を食べて育った羊の毛を使用しており、防寒性/保温性抜群。
北欧らしさがありながらも、シンプルで飽きないデザインに惹かれて購入しました。
我が家ではソファにかけてインテリアの一部にしたり、冷える夜には掛布団にもしています。
■ゲーミングチェア(エルゴヒューマン ベーシック)
在宅勤務をしており、デスクの前で過ごす時間が一日の大半を占めるので、思い切っていいものを購入。
かなり重量があり、組み立てるのが大変でしたが、満足しています。
以前使っていたものが、寮の部屋に備え付けの食堂にありそうなイスだったので余計、エルゴヒューマンの恩恵を感じています。
疲れ具合が格段に違うので、イスにはお金をかけた方がいいと強く思います。
珪藻土マットに出会って、生活の質が上がったといっても過言ではないです。
すぐ乾くので、"快適"そのもの。
ちなみに我が家では、バスマットだけでなく、洗った食器を置く用にも珪藻土マットを使用しています。
数か月前、アスベストの基準でリコール問題がありましたが、我が家のものはギリギリセーフでした・・・。
こちらも速乾性を理由に購入。以前はペン立て形状のものを使ってましたが、衛生面で気になる点があり、上記に買い換えました。
■シャンプーケース(三輝 詰め替えそのまま)
水回りを清潔に保つコツって、"吊るすこと"だと思います。
こちらはシャンプーやボディソープの詰め替えパックをそのままひっかけて、中身をポンプで出すことができる優れものです。
1セットで1,000円以上するので、ちょっと躊躇する値段ですが、
シャンプーケースのヌメリが気になることはないし、ケースはTSUBAKIなのに中身はパンテーンとかいう謎現象も起きませんし、何より詰め替える手間が省けて、めんどくさがり屋の私にとっては最高の買い物になりました。
■風呂イス(ニトリ Nアーバン)
これも水回りの清潔感という観点で買ってよかったものです。
具体的には、イスの脚が長めに作られているので、使い終わったら、浴槽の縁に掛けておけます。
■デスク(IKEA BEKANT)
在宅勤務用に購入。プライベートPC、仕事用PC、モニター、デスクライト、電源タップを置いても、十分な作業スペースが確保できるデスクを探していて、ようやく出会えました。価格もIKEAということでかなり安価に購入できるので、大きめで丈夫な作業デスクを探してる方にオススメです。
■フライパン(T-fal インジニオ・ネオ)
引っ越ししたら絶対に買おうと思っていたものの1つです。
取っ手が取れるので、保管しておく際に省スペースになりますし、鍋ごとダイニングテーブルに持っていくときだけ取っ手をつけて、テーブル置いたら外す、ということもできるので、毎日重宝しています。
■ソファ(ニトリ サザーラ3人用)
ゆったりサイズでありながらも、圧迫感がなく、部屋に溶け込むようなソファーを探している方にオススメです。
座り心地も完璧で、ベッドの次に動くことができなくなる場所です。
休日の朝、まだ眠たい目を擦りながら、ソファーに寝そべりながらネットサーフィンする時間が大好きです。
日常的に使うものにお金をかけて、脱ストレス、効率化を図っていきましょう。
2020年公開の面白かった映画ランキング
2020年日本公開の映画で、映画館で観れたものを中心にランキング形式で紹介していきます。
ご存知の通り、昨年はコロナウイルスの影響で、楽しみにしていた作品の公開が延期になった年でした。数ヵ月おきに映画館の上映スケジュール見ても、「まだこれやってるの?」っていう現象が多く、映画好きにとってはかなりフラストレーションが溜まってしました・・・。
■『新解釈・三國志/日本』
芸能人の内輪ノリを映画に持ち込むなの一言です。
どんな映画でもその映画を作った人をリスペクトしてますが、そのリスペクトを踏まえた上で、めちゃめちゃつまらなかったです。
公開が1度延期されたこともあってか、異常なまでに期待値があがってましたが、観た次の日には内容忘れてしまうくらい、魅力がなかったです。
ただわがままで不器用な若者が破滅しました、ぐらいの内容だった気がします。
色んなレビューに曲がよかったのコメントが散見されるけど、個人的には内容があってこその曲だと思います。
■『えんとつ町のプペル/日本』
大晦日に観にいきました。
時々、目頭が熱くなりかける瞬間がありましたが、その度に西野の顔がちらついて、
一気に冷めるみたいな無限ループでした。
あと、帽子の男の子がずっとプペル君だと思ってましたが、どうやら違うようです。
■『浅田家!/日本』
映画としては、特に良くもなく悪くもなくという印象です。
ですが、主人公の政志がなぜ写真を選んだのか、なぜ写真でなければならないのかが、とても丁寧に描かれていて、その点に関しては非常に好印象でした。
■『罪の声/日本』
実際の未解決事件を扱ったミステリー。
常にハラハラした緊張感と先の見えない展開で、かなり見ごたえのある作品でした。
一つ残念だったのが、所々にギャグ?があったことが余計でした。緩急をつけるためにやっているのか分からないけど、そのシーンだけ浮いてたし、折角の重厚さが薄れてしまったように感じます。
■『コンフィデンスマンJP プリンセス編/日本』
ドラマもちょいちょい観ていて、前作も面白かったので、今回も楽しみに観に行きました。一番最初に紹介した某映画と違って、このシリーズの笑わせにきているシーンはちゃんと面白いです。何も考えず、観れる映画の1つだと思います。
長澤まさみの演技の幅も魅力的だけど、僕は東出の演技が好きです。彼の演技が上手いのか、下手過ぎるゆえのものか判断がつきませんが、キャラクターに妙にマッチしていて味があるんですよね。このシリーズの東出の棒読み、棒演技は必見です!
また、三浦春馬さんが逝去された数日後に観に行ったこともあってか、彼の登場シーンは妙に劇場全体が緊張感に包まれていたような気がしました。。。とても残念です。
■『グッドライアー 偽りのゲーム/The Good Liar/アメリカ』
「邦題がネタバレになってる!」の例です。教科書です。
途中までは先も読めない展開で、夢中で観てましたが、終盤になるにつれ、邦題のせいで大体のオチの予想がついてしまいました。
この邦題自体、本作をよく表していると思いますし、ちゃんと本作を観た人が付けたんだろうなと思いますが、あまりにひどすぎます。真面目な人なんだろうな。
■『ミッドサマー/Midsommar/アメリカ』
この映画を簡単に表すと「伝統と礼儀に重きを置く、ミラクルハッピーニコニコ村に旅行する話」です。
アリ・アスターの映画を観たことなかったこともあってか、個人的には初めて出会うジャンルでした。この映画が多くのシネコンで上映され、話題になったこと自体が凄いことだと思います。本来であればいい意味で表に出てきてはいけない作品だと思います。
■『mid90s ミッドナインティーズ/Mid90s/アメリカ』
思春期の頃の感情を思い出させてくれるような、懐かしくなる映画でした。
登場人物のキャラクターも興味深く、見応えのある作品でした。
■『パラサイト 半地下の家族/Parasite/韓国』
韓国映画のレベルの高さを再度痛感させられた映画でした。
脚本、演出、カメラワーク等映画を構成するどの要素をとっても、ため息がでるくらい素晴らしかったです。
もう一度記憶をなくした状態で観たいと思える作品は久しぶりでした。
■『フォードvsフェラーリ/Ford v. Ferrari/アメリカ』
以前も紹介したこの映画。
シンプルで王道な映画ですが、シンプルだからこそ奥が深く、何かを頑張りたいと思っている人の心に刺さると思います。
1つのことに夢中で取り組む人の姿を見るの、人一倍好きです。
腹の奥底まで響くエンジン音、汚い作業着、献身的で強い家族、男の友情、全てが激アツな作品です。映像の迫力と男の友情に思わず目頭が熱くなりました。
■『1917 命をかけた伝令/1917/アメリカ・イギリス)
第92回アカデミー賞の撮影賞、音響賞、視覚効果賞受賞も納得です。
実際はワンカットではないけど、ワンカットに見せかけたカメラワークにより、
臨場感がより際立っていたと感じます。
また、決してセリフが多い映画ではないものの、主人公が果たさなければならない目的が明確だったため、主人公が何を考えているのか、どのような状況にいるのかが、スッと入ってきました。ワンカットに見せかけたカメラワークが、このようないい意味での分かりやすさに繋がっているのだと思います。
個人的には、照明弾のシーンが美しく、永遠に観ていたいとすら思わされました。
■『TENET テネット/Tenet/アメリカ・イギリス』
2020年公開の映画で一番面白かった映画です。(順当すぎますが・・・)
2日連続でIMAXで観ました。
この映画の考察や解説は、ネットにたくさん落ちているので、ここではしません。
本作を映画館で鑑賞し、改めて思ったことは、僕はクリストファー・ノーランの映画が大好きだということ。彼の作品の多くが、興行的に成功していること、または莫大な資金を注ぎ込んで、興行的に成功することを目的に製作されていることもあり、彼のアンチがたくさんいることも事実です。一部の映画マニアに「ノーランが好き」なんていうとバカにされるかもしれません。
それでも僕はノーラン映画が大好きです。どの作品も目新しさがあり、素晴らしい映像と綿密に練られた脚本とストーリー。TENETもその期待を裏切ることのない、素晴らしい作品でした。(冒頭のオペラのシーンが何気に一番好き)
最近また上映しているみたいだし、観に行こうと画策してます。
ノーランの作品は全て鑑賞済ですが、フォロウィング、メメント、ダークナイト、
インターステラーが特に好きです。
いかがだったでしょうか。
2020年は公開延期が相次ぎ、映画好きにとっては苦しい1年でしたが、
一刻も早くこの状況が改善されますように。
2020年本当に買ってよかったもの【家電編①】
年が明けてから随分経ってしまいましたが、2020年本当に買ってよかったものを紹介していきます。今回は家電編。
学生時代は1人暮らし、社会人になってからもしばらく寮生活を送っていたので、家具や家電、日用品には無頓着でしたが、結婚/引っ越しを経て色んなものを一気に買い直した結果、これらは妥協してはいけないと気付きました。
日々使うものに正しくお金かけることはQOLの爆上げに確実に繋がります。妥協してはダメです。
■モニター(EIZO EV2460)
特に在宅勤務をしている人にオススメです。
今の自分の仕事はExcel等で数字を分析したり、Outlookでのメールのやり取り、pptでの資料作成が9割以上です。会社支給のノートPCは画面が小さいことに加え、目線が下になってしまうので、視力の低下と肩こりが酷く、購入を決意しました。
モニターを買ってからは、いちいちズームしたり、目を凝らしたりする必要がなくなり作業効率が爆上がりしました。
このモデルはモニターの高さや角度も自由に調整できる上、フレームが非常にスッキリしており、見た目もスタイリッシュです。
23.8型にしたのも正解でした。あまりに画面が大きすぎると、視線を動かさなければならず、疲労の原因になって本末転倒だし、逆に小さすぎるとモニター買った意味がないし。
程よく迫力があって、視線もそんなに動かさずに済む。前述の通り、フレームも細いので、圧迫感もない。まさに"快適"そのものです。
映画を観るのにもちょうどいいサイズです。
これは在宅勤務が始まった時にすぐに買うべきものでした。
■キーボード(FILCO Majestouch Convertible 2 茶軸)
前述のモニターと併せて購入。
キーボードって価格帯も様々だし、好みが分かれるものの一つだと思います。
私は無線接続が可能であること、それなりに押下圧が強いこと、テンキーが付いていることを条件に探していた結果、メカニカルキーボードに行きつきました。
ちなみにメカニカルキーボードのスイッチの主な種類の違いは以下の通りです。
青軸=押下圧が重く、キーのクリックが重いもの。押す感覚が非常に強いため、タイプミスしにくいが、カチカチ音はかなり大きい。(結構うるさい)
赤軸=キーが軽く、ソフトタッチで入力できるので疲れにくい。カチカチ音も小さめ。
茶軸=青軸と赤軸の中間くらいで初心者にオススメ。
上記のモデルはUSBケーブルでもBluetooth(最大4台まで)でも接続可能です。
■掃除機(三菱電機 HC-JM2X)
コードレスの掃除機を探しているならこれがオススメ。
部屋の隅にコンセントを挿した状態で充電台を置いておけば、使いたいときに、掃除機をサクッと取り出して、掃除が終わったら、台に戻しておくだけ。
メンテナンスも楽だし、何より軽い。
コードレス掃除機ってこんなに便利だったのかと思い知りました。
お陰であんなに嫌いだった掃除も苦ではなくなりました。
■プロジェクター(EPSON EH-LS500B)
家庭用プロジェクターをずっと欲しいと思ってましたが、やっと納得できるものに出会えて、すごく満足してます。最初は予算15万円くらいで探していたけど、画質や使い勝手、デザイン等がイマイチで購入に踏み切れずにいました。
そんな時、EPSONが短焦点のプロジェクターを発売すると聞き、予算を軽くオーバーしていましたが、ほぼ即決で購入に至りました。
このプロジェクターの良い点は主に3つ。
・短焦点で投影できるため、設置場所の制限がほぼないこと。
・4Kも投影可能な画質の良さ。
・Android TV内蔵で、Wifi環境さえあれば動画配信サービスを楽しめること。
買ってから届くまで1ヵ月以上かかったし、何より高かったけど、買って良かったと心から思ってます。海外旅行ができない今、映画鑑賞が唯一の趣味といっても過言ではなく、大画面で観る映画は格別です。
詳しくは別の記事で書きます。
■電子レンジ(Panasonic NE-BS807)
他の同レベルの電子レンジを使ったことがないので、比較のしようがないですが、
最新の電子レンジ使ったら、こんなにも料理が美味しくなるんだと日々感動しています。(笑)
電子レンジとか温めれれば何でもいいと思ってましたが、これを買ったことによって料理の幅が広がったり、味が良くなったりと、料理の楽しさが倍増しました!
各メーカーそれぞれに特長があって、機能も様々なので、店頭で話を聞くことをオススメします。
他にも家電を一気に買い揃えたので、昨年は人生で一番お金を使った1年になってしまいましたが、生活の質が一気に上がったので後悔は全くしていません。
池袋のヤマダ電機に通って、話聞いて、東南アジアの屋台かと思うくらい値切ったのすごくいい思い出です・・・。
映画レビュー【花束みたいな恋をした】
映画において、多くの人に共通する感情を丁寧に描くことは、良い映画の重要なファクターの1つだと思う。
久々に新作邦画を観たので、感想をレビュー。
<作品情報>
公開日:2021年1月29日
監督:土井裕康
上映時間:124分
製作国:日本
<あらすじ>
京王線の明大前駅で終電を逃したことから偶然に出会った大学生の山音麦と、八谷絹。
好きな音楽や映画がほとんど同じで、あっという間に恋に落ちた麦と絹は、大学を卒業してフリーターをしながら、同棲を始める。拾った猫に二人で名前を付けて、渋谷パルコが閉店してもスマスマが最終回を迎えても、日々の現状維持を目標に二人は就職活動を続けるが・・・
<感想>*ネタバレあり
冒頭にも書いたけど、多くの人の心に響く映画であることの重要な要素の一つに、
"原体験の再現/一般化による共感性の構築"が挙げられると思う。(もちろん、自分にはない感情や視点、体験を味わえるのも映画の魅力ではあるが)
この映画を観た20代の若者の多くは、「僕の、私のための映画に出会えた」と感じるのではないか。
なぜなら、この映画の主題の1つに、"始まりは終わりの始まりである"="『恋愛』特有の刹那性"がある。この感覚は程度の違いはあるものの、多くの人が体験、もしくは理解していることだからだ。
加えて、無数の固有名詞や細かな描写、会話の普遍性が共感性の構築を加速させる。
終電を逃し、仕方なく朝まで居酒屋でダラダラと過ごすこと、深夜に缶ビールを飲みながら数駅分時間をかけて歩いて帰宅すること、呼ばれた飲み会に行ったら初見の人がいること、共通の趣味の話題で盛り上がる時間。
付き合うまでの"あの"感覚、付き合い始めの"あの"感覚、徐々に恋人の存在に慣れていく"あの"感覚。就職等の環境の変化を機に、恋人との関係性がいつの間にか変化してしまうこと、そしていつの間にかすれ違ってしまった/壊れてしまった関係の修復は難しいと気付いた時の虚しさ。
枚挙に暇がないほど、この映画で描かれるほとんどの事象は、何かしら思い当たることがあり、自分の姿や思い出を重ねてしまうと思った。
個人的には、出会いの感じとか、付き合い始めの大学をサボる感じとか、ケンカのシーンとか思い当たる節がありすぎて、監視されてるんじゃないかと怖くなりました。(笑)
また、映画を観た方なら分かるかと思いますが、
麦は理想(就職前)⇒現実(就職後)と価値観が変化していくのに対し、絹は現実(就職前)⇒理想(就職後)と価値観が変化していくことが印象的でした。
圧迫面接について話す件なんて、思わず声が出そうになりました。。。
同じものを見ていても、同じ時間を過ごしていても、実は2人が見ていたもの、感じていたものは決定的に違っていたんでしょうね。そしてそのアンビバレンスは、環境の変化によって徐々に表面化してきたのだと考えています。
多くの人が既に言及してますが、このアンビバレントさを最も良く表しているのが、度々登場するイヤフォン。
同じ音楽を聴いていても、LとRから流れる音が微妙に違うように、同じものを見ていても2人が見ていたものは別のものでした。そして、かつては2人を結んでくれた象徴であったイヤフォンが、映画が進むにつれて、2人の関係性の断絶の象徴になっていくことも非常に印象的でした。
ドラスティックな何かが起きたり、恋愛映画によくある障害を乗り越えて~みたいな要素は皆無で、普遍的な感情の奥深さやグラデーション、価値観のすれ違いをひたすら丁寧に描いていて非常に好感がもてました。
この映画を”共感した”とか”エモい"とか、"切ない"とか一言で片づけるには勿体なさすぎます。
この映画を観た後、妻と「ほとんど見たことある(体験したことある)よね~、あの時とかさー!」なんて話をして、余韻に浸りながらダラダラ帰路につきました。
<関連作品>